仙台市はもったいない?「予算委員会」積立て基金の運用について
育児休業に関する質疑の後、仙台市の基金運用に関して質疑しました。
そもそも基金とは以下のとおりです。
基金とは家計で例えると貯金にあたるもの。
年度間で予算の財源の調整を行う「財政調整基金」のほか、すべてで18の基金があります。
(参考:仙台市財政状況公表書「みんなの財政のミカタ」)
そして地方自治法では以下の様に定められています。
(一部抜粋)
第241条
基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。
これにより、多かれ少なかれ各自治体は基金運用して歳入増に努めています。しかし、現在の超低金利時代では銀行に預金をしていても運用とは言えません。とはいえ株式での運用では元本に影響が出てしまうことは避けなければいけません。そこで、国債をはじめとした債券での運用が注目されています。
私が今回質疑したのは、仙台市の運用が確実性に寄っていて、効率的な運用になっていない事を指摘したかったからです。
以下、仙台市と福岡市の基金運用を比較してみます。
年度末残高 | 運用収入 | 利回り | |
預金 | 216,788 | 32 | 0.015% |
債券 | 49,204 | 170 | 0.346% |
合計 | 265,992 | 202 | 0.076% |
年度末残高 | 運用利子 | 運用利回り | |
預金 | 290 | 0 | 0.001% |
債券 | 330,622 | 4,334 | 1.364% |
繰替運用 | 114,936 | 2 | 0.002% |
合計 | 445,849 | 4,336 | 1.209% |
仙台市の基金運用収入は約2億円、福岡市は約43億円と驚異的な差があることがわかります。仙台市の基金残高と福岡市の基金残高が2000億円弱の差がありますが、注目すべきは利回りです。これは福岡市がリスクが高い運用をしているのではなく、債券比率が高いためです。要は預金で眠らせているくらいなら長期の債券で運用しているということです。個人で資産運用をしている方から見れば1%の運用は大したことがないと感じると思いますが、自治体の基金残高を考慮すれば破格です。
そして福岡市は基金運用と運用実績を毎年公表していますが、仙台市は運用指針も実績も公表されていません。仮に仙台市が1%の運用利回りが確保できれば約26億円もの歳入増になります。地方交付税は収入見込み額に基準税率75%がかけられるので、歳入確保したとしても4分の1にされますが、基金の運用収入による歳入増は地方交付税算定に使用される基準財政収入額に計上されません。つまり1%の運用は100億円の歳入増と同価値になると言えます。
財政局長からは債券比率を高めた利回りの確保と運用指針の公表について前向きな答弁がありました。基金運用に取り組まないことは非常にもったいない事なんです。今後も注目していきます。